棗坂(なつめざか)猫物語

猫目線の長編小説

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

16章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると、励みになります(^^) 16章 その日の夜はぐっすり眠って、次の日の朝、犬のことを思い出して奴のことをちょっぴり気にしながら私がマリエに着いたら、状況は昨日とは様変わりしていた。 犬は私に尻尾を振り…

15章

人気ブログランキング 十五章 こんな平和な猫カフェギャラリー マリエに、そいつは突然やって来た。 その日、いつもは閉店前にふらっと立ち寄るはずのキョウヘイが、昼過ぎに息を切らせて店に駆け込んできた。「叔父貴、悪りぃ。俺のたってのお願いを聞いても…

14章

<a href="https://blog.with2.net/link/?id=2081123"><img width="172" height="133" src="https://blog.with2.net/img/banner/m03/br_banner_goldframe.gif" title="人気ブログランキング"></a><br><a href="https://blog.with2.net/link/?id=2081123" style="font-size: 0.9em;">人気ブログランキング</a> 十四章 それから何度か、サクラの休みの度に占いコーナーは秘かに開設さ…

13章

十三章 (良かったよ、ケイトがそういうタイプの猫で) いつの間にか目の前のテーブルに座ってこっちを見ていたエリックが、最近少しだけスリムになった茶トラ模様の体を起こしながらそう言った。(そういうタイプの猫?)何のことだか分からない私にエリッ…

12章

十二章 (カーティス、これもあなたが?) 私が驚いて聞くと(俺は何もしてないよ)とカーティスは、うそぶいた。(じゃあ、これ、どういうことよ?)(それは、サクラ姐さんの言うように、あの人が『本来の自分』のやるべき事に気づいた、ってことなんじゃねぇの?)…

11章

11章 サクラがバッグから取り出した小さな箱には、綺麗な模様が描かれていた。その箱を開けると中に沢山の同じ大きさの丈夫そうな紙が入っていて、サクラはその順番を器用に入れ換えながらキムラさんと話し始めた。「私の占いは、キムラさんの中にある本当の…

10章

10章 それから数日後、その日は、朝早くサクラが私を迎えにカオルの家にやって来た。(今日は占い猫デビューの日なの)いつものお喋りタイムで、さっきショウ君にそう話したばかり。 サクラはカオルの家の駐車場に車を停めて、私のキャリーバッグを肩にかけて…

9章

9章 「これ?」コーヒーカップと周囲を交互に見ながら、彼女がキョロキョロしていると、厨房から出てきたマスターが言った。「それね、私の甥が陶芸家でしてね。アイディアは姪からもらったんですが 」「今、私が描いた猫と同じポーズなんですけど」コーヒーカッ…

8章

8章 翌朝階段を降りるカオルの足音で目覚めたら、私はいつものようにカオルに挨拶をした。(おはよー。おはよー。ごはんまだー?)「おはよう、ケイト。よく眠れた?」 毎朝、この瞬間だけはかろうじて会話が成立。 カオルは私のお皿に朝食のカリカリを入れて…

7章

7章「ところで、サクラって、ホントに占い出来んの?マジ、インチキ臭いんだけど」マスターの入れた、少しツンとした癖のある香りのコーヒーを飲みながら、キョウヘイが言った。「あなた、ホントに失礼ねぇ。でも、まぁ、半分は図星ね」「おっ、遂に白状したな」「…