棗坂(なつめざか)猫物語

猫目線の長編小説

26章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります ( ^^) 26章 それから十日ほど経った頃、お揃いの青い服を着た体格の良い男の人達数人によって、大きな黒い箱…アップライトのピアノは、店内に運び込まれた。 その日の夕方、久しぶりにやっ…

25章

人気ブログランキング ↑ 更新が遅れて、申し訳ありませんでしたm(__)m クリックしていただけると 励みになります(^^) 25章「今日はライブがあるんですか?」 ママが入口の扉を開けると、そこにはマドンナが立っていた。「あっ。いえ、あの…、えっと…」ママが戸惑…

24章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります(^^) 24章 (それで?ナガレヤマ先生は、何て?) それから四日後の朝、私がお店に着くと、皆は既に輪になって、昨夜のうちにあの世に行って帰って来たオルガとルチアーノの話に夢中だった…

23章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります (^^) 23章 (そんなことが出来るの?)私はビックリしてカーティスに聞いた。カーティスは、ちょっと得意そうに、だけど、それを悟られまいといつものニヒルさを装って何気ない口調でこう言…

22章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります (^^) 22章 ある暑い日の午後、一人の若い男の人が初めて店にやって来た。皺一つない白い半袖のワイシャツに細身の紺色のズボン、細い黒縁の眼鏡には全く曇りがなく革靴もピカピカで、キチ…

21章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります (^^) 21章(先ずは、相手のその日のコンディションを観察することから…) 私とレイを店の隅に呼んで、早速エリックがレクチャーを始めた。(一口にヒーリングと言っても、その人の状態によっ…

20章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります( ^^) 二十章 それから数ヶ月が経過した。その間に、室内が恋しい季節から屋外で何時間でも過ごせる季節に時は移ろい、私達の毛並みも少しずつ夏仕様に変わってきた。 外に出ることを熱望し…

19章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると 励みになります( ^^) 19章 それから間もなくカオルが店にやって来て、私はいつものようにキャリーバッグに滑り込んだ。「カオルさん、明日はお休みだから、ケイトちゃん、しっかりお外で遊べるわね」ママがそ…

18章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると、励みになります( ^^) 18章 「私、…嫌で嫌で仕方がない人間がいるんです…」「ええ…」サクラは静かに頷いた。「私はその人が凄く嫌で、同じ空間にいるだけでもゾッとするくらいなのに、今の生活を続けるには、そ…

17章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると、励みになります(^^) 17章 モカと私達の時間は、あっという間に過ぎていった。 三日目の夕方、キョウヘイがモカを迎えに来ると、モカはちぎれそうなほど尻尾を振って、キョウヘイに飛びついた。 (兄ちゃん…

16章

人気ブログランキング ↑ クリックしていただけると、励みになります(^^) 16章 その日の夜はぐっすり眠って、次の日の朝、犬のことを思い出して奴のことをちょっぴり気にしながら私がマリエに着いたら、状況は昨日とは様変わりしていた。 犬は私に尻尾を振り…

15章

人気ブログランキング 十五章 こんな平和な猫カフェギャラリー マリエに、そいつは突然やって来た。 その日、いつもは閉店前にふらっと立ち寄るはずのキョウヘイが、昼過ぎに息を切らせて店に駆け込んできた。「叔父貴、悪りぃ。俺のたってのお願いを聞いても…

14章

<a href="https://blog.with2.net/link/?id=2081123"><img width="172" height="133" src="https://blog.with2.net/img/banner/m03/br_banner_goldframe.gif" title="人気ブログランキング"></a><br><a href="https://blog.with2.net/link/?id=2081123" style="font-size: 0.9em;">人気ブログランキング</a> 十四章 それから何度か、サクラの休みの度に占いコーナーは秘かに開設さ…

13章

十三章 (良かったよ、ケイトがそういうタイプの猫で) いつの間にか目の前のテーブルに座ってこっちを見ていたエリックが、最近少しだけスリムになった茶トラ模様の体を起こしながらそう言った。(そういうタイプの猫?)何のことだか分からない私にエリッ…

12章

十二章 (カーティス、これもあなたが?) 私が驚いて聞くと(俺は何もしてないよ)とカーティスは、うそぶいた。(じゃあ、これ、どういうことよ?)(それは、サクラ姐さんの言うように、あの人が『本来の自分』のやるべき事に気づいた、ってことなんじゃねぇの?)…

11章

11章 サクラがバッグから取り出した小さな箱には、綺麗な模様が描かれていた。その箱を開けると中に沢山の同じ大きさの丈夫そうな紙が入っていて、サクラはその順番を器用に入れ換えながらキムラさんと話し始めた。「私の占いは、キムラさんの中にある本当の…

10章

10章 それから数日後、その日は、朝早くサクラが私を迎えにカオルの家にやって来た。(今日は占い猫デビューの日なの)いつものお喋りタイムで、さっきショウ君にそう話したばかり。 サクラはカオルの家の駐車場に車を停めて、私のキャリーバッグを肩にかけて…

9章

9章 「これ?」コーヒーカップと周囲を交互に見ながら、彼女がキョロキョロしていると、厨房から出てきたマスターが言った。「それね、私の甥が陶芸家でしてね。アイディアは姪からもらったんですが 」「今、私が描いた猫と同じポーズなんですけど」コーヒーカッ…

8章

8章 翌朝階段を降りるカオルの足音で目覚めたら、私はいつものようにカオルに挨拶をした。(おはよー。おはよー。ごはんまだー?)「おはよう、ケイト。よく眠れた?」 毎朝、この瞬間だけはかろうじて会話が成立。 カオルは私のお皿に朝食のカリカリを入れて…

7章

7章「ところで、サクラって、ホントに占い出来んの?マジ、インチキ臭いんだけど」マスターの入れた、少しツンとした癖のある香りのコーヒーを飲みながら、キョウヘイが言った。「あなた、ホントに失礼ねぇ。でも、まぁ、半分は図星ね」「おっ、遂に白状したな」「…

6章

6章「こんばんは。どう?ケイトちゃん。あなた、初日からすっかり馴染んでるわね」丁度、最後のお客と入れ替わりに店に入って来たサクラは、昨日と同じように私の喉を気持ち良く撫でながら辺りを見回して「それに、何だか他の猫達も急に雰囲気変わったわね」と…

5章

5章 猫カフェ マリエへの出勤初日、私の入れられたキャリーケースは、たちまち5匹の猫達に取り囲まれた。皆は、口々に言いたいことを言う。(働くって、どういう意味?私達、ここに居るのはここが私達の家だからよ。そりゃ、人間達は飲み物や食べ物を売って働…

4章

4章 ショウ君の話によると、私達の住んでいる所は坂の多い町で、車一台がやっと通れるくらいの入り組んだ路地が、あちこちに張り巡らされているらしいの。私の家とショウ君の家の間にある道は通称「棗坂」。古くからの呼び名で、最寄りの駅にもその名前が付…

3章

3章 「なるほど、そういうことだったのね 」 カオルの家のリビングで、私は香水臭い女の膝の上に載せられて、背中を撫でられている。ここに来てから人の会話をよく聞くようになって、私はかなり沢山人間の言葉を覚えたわ。前いた家のおばあさんは一人暮らし…

2章

2章 編集 (ケイト、何だかお洒落な名前だね。前のコウメちゃんもチャーミングだったけど。それに、そのピンクの首輪、とっても似合ってて可愛いよ) ヨシダさんの家の屋根に登って、カオルが付けた私の新しい名前を報告すると、ショウ君は優しい目をしてそう…

1章

棗坂(なつめざか)猫物語 森生 カナ子 一章 私は猫です。名前はケイト。カオルという、もうあまり若くない人間のメスの家で、少し前から暮らしているの。ケイトというのはカオルが付けた名前で、その前は、一人暮らしのおばあさんの家にいて、私、おばあさん…

ブログ開設

初めまして。森生カナ子と申します。 猫が主人公の自作の小説をアップしていきたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。